
知識ゼロでも楽しく読める心理学
心理学のあれこれ、用語の意味、仕組みやテクニックについて98項目にわたって解説されている。心理テストなども含まれていて、幅広く心理学というものに触れることができる一冊となっている。
一般的に知られていることから、ニッチなテーマについても多く書かれており、その中で仕事に使えそうな内容をいくつかご紹介。
相手の印象が良くなる「初頭効果」「ハロー効果」
心理学では、初対面の印象が重要なことと、際立った特徴が重要。第一印象が、後々まで大きな影響を与える。初対面では身なりを清潔にしたり、話し方などに特に配慮したりするとよい。
交渉は食事をしながら「ランチョンテクニック」
美味しい食事で幸せな気分になると、相手に対するイメージが良くなる。心理学的には、高級レストランや料亭などで食事をしながら交渉や面談をすれば、よい結果が出るとされている。
おいしいものを食べると、リラックスや幸福感などをもたらされ、幸せな気分になります。このため、一緒にいる相手に対するイメージもよくなり、無意識に肯定的な反応をしてしまう。
「商品を買わせる」ための心理テクニック
希少価値を高める「希少性の原理」や、反発心を利用する「心理的リアクタンス」を利用する。
希少性の原理とは、生産量・流通量が少なく、手に入りにくいのは価値が高まり、魅力的に見えるという心理。
心理的リアクタンスとは、制限された自由を取り戻そうとする心理作用のこと。「期間限定」など、店側に購入の制限をされると、商品を買うお客さんの立場としては、「買う」「買わない」という選択の自由を奪われるように感じてリアクタンス(抵抗)したくなる。お客さんは「買う自由」を奪われたくないため、商品を買ってしまう。
「アドラー心理学」行動するのは、目的のため?
ヒトの行動は「原因」でなく「目的」に起因するものだと考える心理学。ヒトの行動には原因はなく、「目的」を達成するために経験や感情を利用すると考えた。
例えば、「他人と関わりたくない」という目的を達成するために、「自分は人見知りな性格だから」などの原因をつくり出すというもの。(例えば、「他人と関わりたくない」という目的を達成するために、「自分は人見知りな性格だから」などの原因をつくり出す)
また、アドラーは、人間が抱える悩みはほとんどが対人関係であり、その解決には、自分が克服すべき課題と、他人が克服すべき課題とを明確に分離することが大事だと主張。
「行動経済学」経済活動は不合理なもの?
自分では絶対買わない高級ワインをプレゼント用なら購入するなど、ヒトの心理的な行動にひもづく、不合理な経済活動。「80%オフ!」「3割引といった広告を見ると、値下げ幅の大きさによって、標準的な販売価格を知らなくても、「お得だ」と感じてしまう「アンカリング効果」。
「利益が発生しているときは、リスクを回避する」「損失が発生しているときは、リスクを取ってでも損失を取り戻そうとする」という心理「プロスペクト理論」など、経済活動に及ぼす影響を探究する学問。
信頼を得る方法説得「片面提示」両面提示」
メリットもデメリットも伝えて説得した方が、相手からの信頼を得ることができる。片面提示とは、「機能が通常の2倍」「効き目50%アップ」など、メリットだけを強調する説得方法で、即効性がある。片面提示が有利にはたらくときは、相手が商品に対する知識がないときや、相手との信頼関係があるとき、相手がすでに存品に魅力を感じているとき。
両面提示の際は、最後に与えられた情報が人の印象に大きな影響を与えるという「新近効果」を利用。デメリットを先に伝えた後にメリットを強調する方が印象に残る。また、メリットとデメリットの関連性が高い方が説得力は増す。
「会議を有利に進める席順」がある?
結論:会議の席順は「スティンザー効果」を利用して、協力者を正面に、対立者を正面以外に設定することが有効である。
会議の席順は自然に決まるように見えるが、参加者の心理が大きく作用しているというもの。長方形テーブルの場合、リーダーは全員を見渡せる位置に座り、会議に消極的な人は入り口に近い方のテーブルの端に座る傾向がある。
心理学者スティンザー「会議中に起こる現象3つの原則」
・以前に対立した相手は正面に座ることが多い。
・ある発言の後には、反対意見が出ることが多い。
・議長のリーダーシップが強い場合、参加者は隣の人と私語を交わすことが多く、議長のリーダーシップが弱い場合、正面の人と私語を交わすことが多い。
これをスティンザー効果といい、応用することで会議を有利に進めることができる。
正面には反対意見の人を座らせず、協力者を座らせること。さらに自分の発言後に協力者に賛成意見を言ってもらえば、意見が通りやすくなる。丸テーブルを使うと、参加者全員からの意見が出やすくなる。
感想
他にも、「根拠のないデマはどうして広がるの?」「陰謀論を信じやすい人はどんな人」「都会の人は地方の人より冷たい?」「興味のある言葉は騒がしくても聞こえる?」など興味を惹かれるタイトルが並んでいる。
項目ごとに700字程度で要点がまとまっていて、イラストでわかりやすく説明されており、タイトル通り楽しく読める。
グラフィックデザイナー/アートディレクター
日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)会員
宅地建物取引士
1982年北海道生まれ。大学卒業後、広告制作会社を経て広告代理店勤務。その後はフリーランスとして、多様な事業形態の中でグラフィックデザイン業務に従事。直近では事業会社にて、通信講座の事業責任者というポジションで、EC事業の運営及びマーケティングを7年に渡り主導。広告業界・デザイン共に20年以上の経験と、Word Pressを活用したWEB・LPデザインは10年の実績があります。特にハウジンググラフィックの実績が豊富で、通信事業で培った経営目線のマーケティングが強み。