あなたの「弱み」を売りなさい

川上徹也

「物語」の持つ力をマーケティングに取り入れた「ストーリーブランディング」という独自の手法を開発した著者が、ある架空の国のレストランをめぐる寓話を通じて、無名の小さな店が、有名で大きな店に「戦わずに勝つ」ための「ストーリー」戦略について書かれた書籍。

物を売るな、物語を売れ

中小企業や個人商店は、価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りず、大企業と勝負しても勝ち目はない。
なのに同じ土俵で戦っている会社やお店が多い。「価格」や「品質」など理性的な部分だけで勝負しても大手には敵わない。

人の心が動くように、わかりやすく見える化する。ビジネスにおけるストーリーとは「商品、サービス、会社にまつわるフィクションじゃない本当にあったエピソード」。「弱み」を「強み」に変えていく物語に仕立てることで、人の心を動かすことができるストーリーが生まれる。

あなたはどちらを選びますか?(リンゴの例)

A:どこにでもある、ごく一般的な農法で育てたリンゴです。
B:まわりの葉を取らずに栽培し、果実に十分に栄養を行き渡らせたリンゴです。そうすると見た目は少し悪くなりますが、断然甘くて美味しくなるのです。
C:「奇跡のリンゴ」でおなじみの木村秋則さんが作ったリンゴです。木村さんは絶対に不可能と言われていたリンゴの無農薬無肥料栽培を、八年の歳月をかけ、長年の極貧生活と孤立を乗り越えて、試行錯誤の末にようやく実現しました。

多くの人がCを選ぶのはなぜか?品質や味について何も触れていないが、心を動かされるストーリーがあるから。美味しいかどうかを超越して「食べてみたい」と思うのが人間である。

ストーリーの黄金率

・何かが欠落している、または欠落させられた主人公が、
・なんとしてもやり遂げようとする遠く険しい目標やゴールに向かって、
・数多くの葛藤、障害、敵対するものを乗り越えていく
(映画やドキュメンタリー、少年漫画でよく使われる手法。人類共通の感動のツボ)

ストーリーがあると口コミにも繋がりやすい

A=おいしくてもわざわざ口コミしない
B=ものすごくおいしければ口コミするかも
C=おいしくても、おいしくなくても伝えたくなる

ストーリーブランディング3本の矢

・志→農薬でアレルギーが出た家族のために無農薬肥料のリンゴを栽培しようと決意し、長年の苦節と試行錯誤の末に実現させた

・独自のポイント→世界初の完全無農薬無肥料の自然栽培で作られたリンゴである

・魅力的なエピソード→木村さんがごめんねと謝らなかった木は全部枯れた、皮を剥いたママ放置しても色が変わらない、翌日でもみずみずしさが変わらない(奇跡のリンゴより)

具体的には「何を目指す会社で」「どんな特徴があり」「日々どのような活動をしているのか」を物語として組み立ていく。

感想

つい最近、マーケ系のyoutubeチャンネルで「開発者の想い(長文物語)」をLPに入れたら成約率がめっちゃ上がった、という情報が気になり本書を選びました。書かれていること自体斬新なものではないが、ちゃんと論理的に説明されると、確かにと納得できる点も多かった。企業サイトやオウンドメディアなどでもうまく活用できるので、応用が効きそうな内容だと思います。

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